訪問着とは?主な種類や使われる生地から帯の選び方も解説

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訪問着は、結婚式からちょっとしたお出かけまで多様なシーンで着用することができますが、ルールを守って着こなすことが大切です。本記事では、訪問着の特徴や帯の選び方、訪問着の買取相場や高く売るためのポイントについても解説します。

訪問着とは

訪問着とは、格が留袖に次ぐ準礼装用の着物で、未婚・既婚を問わず着用できる着物です。着物全体に広がる華やかな絵羽模様が特徴で、多様なシーンで着用できることから1枚あると重宝します。ここでは、訪問着の特徴について詳しく解説します。

留袖の次に格式の高い着物

訪問着の格は、留袖に次ぐ準礼装です。着物は種類によって格式の高さが異なり、礼装、準礼装、盛装(もしくは略礼装)、普段着の4つに分けられます。訪問着は、礼装に準じた装いで、きちんと礼儀を尽くした装いとされる準礼装に該当します。

ただし、種類によっては準礼装に適さないものもあり注意が必要です。その区別にはいくつかありますが、紋の数で判断するのが分かりやすいです。染め抜き日向一つ紋(日向紋:紋のなかで最も格が高い)は準礼装もしくは礼装、紋がなければ準礼装~略礼装になります。

一つの絵のように描かれた絵羽模様

訪問着には、絵羽と呼ばれる模様づけがあります。絵羽模様とは、縫い目にまたがってついている模様のことです。白生地を着物の形に仮縫いした段階で、縫い目をまたがって絵を描いてから、仮縫いをほどいて染色して仕上げていきます。そのため、着物を広げると1つの絵のように見えるのです。

このように、着物全体に広がる模様を「総模様」と呼び、打掛や振袖にもみられます。豪華な古典柄であれば準礼装、控えめな柄はちょっとしたお出かけ着と区別して覚えておくと、着用シーンを間違えることはないでしょう。

多様なシーンで着用できる

訪問着は準礼装もしくは略礼装として、フォーマルからちょっとしたお出かけまで、多様なシーンで、年齢や未婚・既婚に関係なく着用できるのが特徴です。準礼装としては、ゲストで招かれた結婚式の披露宴や入学式・卒業式など、略礼装では格式の高いあらたまったシーンというよりは、観劇や茶会、友人との食事などで着用します。多様なシーンで着用できるからこそ、基本的な訪問着の種類を知っておくことが必要です。

監修者コメント

ナヴィカス祐木

訪問着は、その名の通り、誰かを、もしくはどこかに訪問するために装う着物です。そのため、訪問着は色留袖に次いで格が高い着物で、セミフォーマルの装いになります。
準礼装や礼装といったところでピンとこないという方は、セミフォーマルの装いの着物と覚えておけばまず間違いありません。
訪問着には紋を入れることもできますが、近年では入れても1つ、もしくは洒落紋を入れるのが主流です。
知人の結婚式はもちろん、表彰式、パーティー、式典、年賀、結納、お見合い、茶席など、色々なシーンで着用可能な着物となっています。表彰式や式典で着る場合は紋があったほうが望ましいでしょう。しかし、カジュアルにも楽しみたいというのであれば紋は必要ありません。自分の必要用途に合わせて紋を入れるかどうするか決めてみてください。

訪問着の種類

訪問着にはさまざまな種類があり、先述した通り着用するシーンや時期により、ふさわしい装いがあります。ここでは、紋の格式の違いや仕立ての違いにみられる訪問着の種類について、訪問着に似た付下げ訪問着も合わせて解説します。

紋による格式の違い

紋の数が多いほど格が高く、着物の格に適した紋の付け方があります。最も格が高いのは背縫い・両後ろ袖・両胸に紋を入れる五つ紋で、三つ紋、一つ紋、無紋と続きます。したがって、訪問着に五つ紋をつけても格が高い着物になるわけではありません。五つ紋がつけられるのは、黒留袖と喪服の2種類のみです。

訪問着には三つ紋、一つ紋、無紋があり、現在では紋が簡略化される傾向にあり、無紋でも問題ないとされています。ただし、フォーマルなシーンでは一つ紋以上であることが、場にふさわしいといえます。

仕立ての違い

四季のある日本では、衣替えがあるように着物にも季節によって着分けるのがルールとされています。仕立てには袷(あわせ)、単衣(ひとえ)、薄物(うすもの)という種類があります。ここでは、それぞれの仕立ての違いを解説します。場にふさわしい訪問着を着用するためには、時期も重要ですから、仕立てについて理解しておきましょう。

袷とは、表地に裏地を縫い合わせて仕立てる方法のことです。裏地には、裾さばきをスムーズにし、表地が傷むのを防ぐ役割があります。訪問着は、表地と同じ生地で作られていることが特徴です。一般的に、10月はじめから梅雨に入る前の5月末あたりまで着用できるため、ほとんどの着物が袷で仕立てられています。

単衣

単衣とは、裏地をつけずに仕立てる方法のことです。単衣の訪問着の多くは正絹(絹100%で織られた生地)ですが、ポリエステルでも作られています。一般的に6月と9月に着用し、初夏や初秋といった季節の変わり目にふさわしい着物です。また、5月や10月に着てもよいとされているので、気候やご自身の体感を優先するのも1つの考えといえます。

薄物

薄物とは、盛夏に着るために薄い生地で裏地をつけずに仕立てる方法のことです。生地に透け感がある目の粗い「絽(ろ)」もしくは「紗(しゃ)」で仕立てられます。絽はフォーマル、紗はセミフォーマルなシーンに向いています。薄物の訪問着は、生地が薄く色合いも淡いものが多いため、長襦袢(ながじゅばん:和装下着)の色や袖丈、裾丈など訪問着に合わせて選ぶことがマナーです。

付下げ訪問着とは

名称に訪問着がついていますが付下げの1つで、訪問着に近い付下げ(つけさげ)のことです。付下げは、着物の格でいうと訪問着より下になり、模様の付き方で見分けることができます。訪問着は、縫い目にまたがった絵羽模様が特徴です。一方で、付下げ訪問着は柄が縫い目をまたがっていることは少なく、訪問着よりもあっさりとした控えめな印象があります。

着用シーンは、訪問着より格式張っていないリラックスした場所が向いています。ただし、付下げ訪問着に紋をつけることで訪問着と同格になり、セミフォーマルな場所への着用も可能です。その際には、帯や帯締め、帯留めで華やかさを出すようバランスをとることを心がけましょう。

監修者コメント

ナヴィカス祐木

訪問着はよく付け下げ、付け下げ訪問着と混同されがちです。
今一度整理しておくと、付け下げは訪問着の模様付けを簡素化した着物です。戦時中は訪問着の華やかさが贅沢品であると禁止され、付け下げが訪問着の代わりに大流行したという歴史もあります。
付け下げが訪問着と大きく異なる点は、仮絵羽仕立てではなく反物で売られているという点にあります。小紋も反物で売られていることからも分かるように、格が低い着物は反物で売られる傾向にあり、付け下げはセミフォーマルの中ではもっともカジュアルに近い着物として位置付けられます。
そして、付け下げ訪問着とは、付け下げでありながら訪問着のような絵羽模様が配された着物をいいます。こちらは反物ではなく仮絵羽仕立てで売られていることがほとんどです。格としては付け下げと訪問着の中間に位置するものと考えられていましたが、現在では付け下げ訪問着と訪問着の格はほぼ同格扱いになっています。

訪問着に使用される代表的な生地の種類

訪問着の生地にはさまざまな種類があり、主に絹織物が使われます。織り方によってちりめん、紋意匠などの呼び方があります。ここでは、訪問着に使用される代表的な生地の種類について解説します。

ちりめん

ちりめんは、撚りのない経糸(たていと)と強く撚った糸を緯糸(よこいと)にして、交互に織り上げられた絹織物です。光沢のある白い生地に仕上げるために、汚れを洗い流す「精錬」を行うことで、生地が縮んでシボ(表面の凹凸部分)が浮き出てきます。シボが細かいほど高級品として扱われます。

紋意匠

紋意匠(もんいしょう)は、地紋(織で表現した模様)があるちりめん生地のことです。太さの異なる2種類の緯糸を用いて、二重に織られることによりシボが現れます。主に絹が用いられ、近年では絹に似た高級ポリエステルも作られています。一般的なちりめんに比べ立体感があり、染色することでさらに立体感が引き立つことが特徴です。

羽二重

羽二重(はぶたえ)は、撚りのない経糸・緯糸を交互に交差させて織られる織物のことです。ポリエステルを素材にしたものもありますが、絹を用いた光絹(こうきぬ)は高級品として扱われます。経糸を細い2本を使って織るため、薄手でなめらかな肌触りと上品な光沢が特徴です。

綸子

綸子(りんず)は、経糸・緯糸ともに撚りのない絹糸を使い、緯糸が表面に出るよう織り上げられた生地のことです。経糸、緯糸とも同色の糸を使うため、無地であっても光の反射で模様が浮いて陰影が引き立つという特徴があります。生地は薄く、柔らかくなめらかな肌触りで、強い光沢があることから華やかな印象があります。

紬(つむぎ)は、繭を綿状にして糸を紡いだ紬糸を染色して織られる織物のことです。大島紬や上田紬、十日町紬など多くの紬は絹糸で作られますが、結城紬のように綿で作られるものもあります。古くから普段着として使われており、フォーマルには不向きです。おしゃれ着として格式にこだわらない場所への着用になります。

絽(ろ)は、経糸2本ねじってヨコ色と織り込む織り方で、夏向けの着物に使われる織物です。透け感のある生地が特徴で、盛夏を中心とした6月や9月にも着ることができます。絽の素材は正絹だけでなく、綿やポリエステルなども使われ、絽で仕立てられた訪問着は、結婚式などフォーマルなシーンに適しています。

紗(しゃ)は、1本の緯糸に対して強く撚った経糸を2本ずつ絡ませる織り方で、夏向けの着物に使われる織物です。絽に比べて目が粗いため全体に透け感があり、盛夏に適しています。9月を過ぎても暑い日には着用できますから、気候を見ながら合わせるとよいでしょう。観劇や食事会のようなセミフォーマルにおけるおしゃれ着や普段着の着物に向いています。

化学繊維

絹の代用品として人工的に作られた化学繊維は、技術の進歩によって絹のような風合いが出せるようになっています。なかでも高級ポリエステルはさまざまな織り方に応用され、訪問着にも活用されています。お手入れが簡単な反面、通気性や吸水性が悪いため蒸れやすいことが懸念されます。絹の訪問着と同様にフォーマルからおしゃれ着として着ることが可能です。

参考:「染と織」地域別辞典|大島紬|一般社団法人民族衣裳文化普及協会

監修者コメント

ナヴィカス祐木

ここで、訪問着の種類に「紬」があることに驚かれた方もいるのではないでしょうか。
紬の着物とは、本来カジュアルな普段着の着物として知られており、洋服でいうところのジーンズのような手軽さがあります。そんな紬の訪問着とは一体何なのかということになりますが、これは訪問着の生地に高級紬を用い、絵羽模様で模様付けし、仕立てられた着物を指して言います。泥大島のような独特の光沢を持った地色に華やかな絵が付けられれば、それは見事な訪問着に様変わりします。ただし、やはり材質上格は訪問着の中でも落ち、基本的には略礼装での扱いとなることは覚えておきましょう。
紬は年々高級化しており、中には加賀友禅の3倍近くの価格になるものも出てきました。値段だけ見れば、十分正装として厳かな場所にも着て行けるのではないかと勘違いしてしまいがちですが、紬はあくまでも紬の格があることを覚えておいてください。

訪問着に使用される染めの種類

訪問着は、白生地を着物の形に仮縫いしてから、縫い目をまたがって絵を描き、仮縫いをほどいて染色し、織り上げていくことをご紹介しました。このように白生地に色や柄の染色をしたものを染めの着物といいます。染めには手描きや型染めなどの技法が使われています。ここでは、基本の染め技法と訪問着に使用される染めの種類について解説します。

基本の染め技法

訪問着のように、織り上げられた白い着物地を染めることを後染めといいます。後から染めるため、華やかな色合いを出すことができますが、色が定着しにくく色移りしやすいのです。そのため、染めの技法にはさまざまな工夫が施されています。

後染めの基本技法には、主に以下のような技法が挙げられます。

・浸染(しんぜん)
・捺染(なっせん)
・手描き染め
・型染め

続いて、後染めの基本技法を解説します。

浸染

染料を溶かした液体に、白生地を浸して染める技法のことです。染まりやすくするために使うのが媒染剤です。天然染料のなかでも植物由来のものには、タンニンや鉄などで構成された媒染剤を使います。例えば、大島紬にみられる泥染めでは、泥に含まれる鉄分とテーチ木のタンニンと化合し、大島紬独特の茶褐色が定着します。泥が媒染剤の役割を担っているのです。また、模様染めの場合は、糊(のり)やろうなどを使った防染法により、色移りを防いでいます。

捺染

染料に糊を混ぜた色糊を、白生地に染める技法のことです。蒸して色を定着させた後、水洗いで糊を落とします。捺染機を使う機械捺染とへらを使う手捺染に分けられます。 あらかじめ文様の部分に糊をつけることで、色が染まるのを防ぐため、輪郭が明瞭で繊細な文様を作り出すことが可能です。京友禅、西陣織などに手捺染の技術が受け継がれています。

手描き染め

筆や刷毛などに染料をつけて模様を描く染めの技法です。白生地に下絵を描き、糊もしくはろうを置いて色移りを防ぎ、染色します。代表的なものには、友禅やろうけつ染めがあります。手描きならではの染料とびやにじみなどが独特の風合いをかもしだしています。高度な技術を必要とする染色技法の1つです。

型染め

型紙を使って白生地に糊を置いて模様を描く染めの技法です。染めは刷毛などで染める方法と染料を溶かした液体に浸して染める方法があり、水洗いで糊を落とし、蒸すなどの処理を経て模様を出していきます。代表的な型染めには、東京都の江戸小紋、京都府の京友禅があり、多色の型染めは沖縄県の琉球びんがた紅型が有名です。

絞り染め

絞り(しぼり)染めは、白生地の一部をつまみ糸でくくるなどしてから染料に浸すという後染めの技法です。つまんだ部分を白く残し、それ以外の部分を染色して模様を表して、絞り独特の立体的なシワの文様を生み出します。

文様中心部の点が小さくなり、また文様の谷間にも染料が入り込みづらいというのが特徴です。白く残る面積が広くなるため、地色が多少濃い色でも全体的に白っぽく見えます。代表的な絞り染めには、愛知県の有松絞り・鳴海絞り、京都府の京鹿の子絞りが有名です。

辻が花染め

辻が花染めとは、奈良時代から伝統的に続く絞り染めによる後染めの技法です。絞り染めのほかに、生地をくくって染めるものから、絵模様の輪郭を縫い絞って多色に染め分けたものなど、高度で複雑な技術を必要とします。桃山~江戸時代初期に最盛期を迎え、友禅染めの発達とともに衰退しますが、昭和60年代に久保田一竹氏によって「一竹辻が花」が発表されました。また、現代の辻が花染めは福村廣利よって受け継がれ、縫い締め、巻き上げなどの絞り技法を用いています。

参考:辻が花について|辻が花染め工房絵絞庵

友禅染め

友禅染めは、模様の輪郭に沿って糸目糊(いとめのり)をぬり、染料のにじみを防いでから文様を染め描く後染めの技法です。江戸時代に京都の扇絵師である宮崎友禅斎(みやざきゆうぜんさい)によって完成されたため、その名が付きました。友禅染めには、職人による手描き友禅と模様の型を使う型染めがあります。代表的な友禅染めの種類は、日本三大友禅といわれる京都府の京友禅、石川県の加賀友禅、東京都の江戸友禅などが有名です。

ろうけつ染め

ろうけつ染めは、溶かしたろうを筆にとって生地に模様を描き、その上から染料で染めていく後染めの技法です。ろうが付いた部分は染まらず、それ以外が模様として染まります。手作業ならではの、均一ではない糊の厚みがそのまま染めに反映され、濃淡を表現します。また、あえてろうにヒビを入れ、その隙間に染料が入り込むことで、独特の風合いが生まれます。平安時代に廃れてしまいますが、明治時代から復活し、現在では友禅染めに用いられ、京都の京友禅にろうけつ友禅があります。

ぼかし染め

ぼかし染めは、伸子(しんし:両端に針がついた竹製の細い棒)を使って白生地のたるみをとり、刷毛で染料をぬる後染めの技法です。染色の際に糊を使わず、地色の一部もしくは全体をにじませるようにして濃淡をつけます。ぼかし染めは、手描き友禅や紬に応用されている伝統的な技法です。

ろうたたき染め

ろうたたき染めとは、溶かしたろうを筆もしくは刷毛などに含ませてたたき、ろうの飛沫を生地に落とす防染方法による後染めの技法です。ろうの飛沫部分は染まらないため、不規則な点状の雪のような模様が描かれます。たたきと染めを何度も繰り返すことで、濃淡が現れ独特の風合いが特徴です。京友禅作家の松井青々氏による、たたき染めの上に松竹梅などの模様を描いた作品は「青々調」とも呼ばれ人気があります。

草木染め

草木染めとは、草や木、花などから採取した材料を染料に用いた後染めの技法です。繊維を染まりやすくするために、必ず媒染作業を行います。このことによって化学染料では出せない深みのある色合いを出すことができるのです。京友禅の染色法に、食用豆腐の雪花菜(おから)を用いた卯の花染めがあります。また、東京都八丈島でコブナグサ、タブノキ、シイ、マダミなどを使用した本場黄八丈(ほんばきはちじょう)が有名です。

墨流し染め

墨流し染めは、水面に墨汁や顔料と油と交互に落とし、波紋の模様を写しとる後染めの技法です。江戸時代には衰退していましたが、染色技術の第一人者である薗部正典氏によって、新たな技術が完成し、水に溶けにくい染料が開発されるなど、現代的な墨流しが受け継がれています。水に染料が溶け出す前に、1度に10メートル以上の模様を描き、生地に写し取るのは、熟練した技術が必要です。

 

参考:「染と織」地域別辞典|一般社団法人民族衣裳文化普及協会

監修者コメント

ナヴィカス祐木

一般的に、「染め」の着物は「織り」の着物よりも格が高いとされ、留袖、訪問着、付け下げなどは代表的な染めの着物として知られています。
訪問着の染め技法として有名なのは、やはり友禅でしょう。
友禅染めと一言でいっても、種類がいくつかあります。
京都で発展した京友禅、石川で発展した加賀友禅、そして東京で発展した東京友禅です。特に京都と加賀で発展した友禅は日本の二大友禅として大変有名で、ファンも多いです。元々は京都で友禅が発展し、その一部が加賀に落ち着き、加賀友禅を発展させました。
友禅は最近ではプリントものも出てきています。伝統工芸品にも指定されている本加賀友禅、本京友禅をご希望の方は、しっかり証紙などを確認した上で購入されるようにしましょう。証紙を見てもよく分からないという場合は店員さんに尋ねてみてください。

訪問着に合わせる帯の選び方

訪問着には基本的に袋帯を合わせますが、着用するシーンによって袋帯では大げさになる可能性もあります。さまざまなシーンに着用できる訪問着だからこそ、合わせる帯は適切に選びましょう。ここでは、訪問着に合わせる帯を選ぶポイントや結婚式、七五三、食事会やお出かけ向けのコーディネートについて解説します。

訪問着に合わせる帯を選ぶポイント

訪問着は、留袖の次に格式の高い着物で準礼装の着物ですから、帯も訪問着にふさわしいものを選ぶ必要があります。帯を選ぶポイントは、訪問着を着用するシーンに応じた帯の格や柄です。ここでは、それらのポイントについて分かりやすく解説します。

TPOに応じた帯の格で選ぶ

まず、TPOを考えるうえで重要な帯の格について確認していきましょう。帯は格の高い順に、丸帯、袋帯、九寸名古屋帯、八寸名古屋帯となります。このうち訪問着に合わせることができるのは、袋帯と九寸名古屋帯です。

袋帯とは、表と裏に別の生地を使って、袋状に織られた帯のことです。金糸や銀糸を多く使った帯は格が高く、振袖、留袖、訪問着に合わせてフォーマルからインフォーマルまで幅広い用途があります。

ただし、金銀糸の分量が少ない袋帯をしゃれ袋帯と呼び、おしゃれ着の着物に合わせるため、訪問着には向いていません。九寸名古屋帯は袋帯の簡易帯として考案されたため、金銀の糸や刺繍がある華やかなものであれば格が上がり、セミフォーマルなシーンでの着用が可能です。

 

参考:帯ときものの一般的な取り合わせ|西陣織工業組合

文様で選ぶ

帯の文様も、訪問着に合わせる際の重要なポイントになります。文様にも格があり、縁起の良い吉祥文様(きっしょう)、格調が高い有職文様(ゆうそく)などの古典文様は、打掛や留袖、振袖、訪問着などに描かれる格の高い文様です。

・吉祥文様
めでたいことを意味し、縁起の良い幸福のしるしとして用いられる文様です。代表的な文様には、鶴亀、松竹梅、鳳凰、熨斗(のし)、宝船などがあります。

 

・有職文様
平安貴族の装束に用いられ、格調高く重厚な趣きがある文様です。代表的な文様には、円形で構成させた七宝文様、六角形をつなげた亀甲文様、平行線が交わった菱文様があります。

一方、古典文様にはみられないモダンな幾何学模様の帯は、古典文様よりも格が下になるため、ちょっとした外出のおしゃれ着に合わせます。したがって、九寸名古屋帯に古典文様が前面に描かれ、金銀糸が多く織り込まれているものは、モダン柄の袋帯よりも格が高いということもあります。

 

参考文献:藤井健三著『格と季節がひと目でわかる きものの文様』世界文化社

結婚式などお祝いの席には袋帯

結婚式にゲストとして出席するといったお祝いの席には、金銀糸や吉祥文様を使ったお祝いにふさわしい華やかな袋帯を合わせると、よりTPOに合わせた装いになります。また、袋帯は二重太鼓結びが一般的です。二重太鼓結びは、お太鼓結びの太鼓部分が二重になっており、一重太鼓より格が高い結び方です。品格のある帯結びですから、ゆるみがないよう結びましょう。

七五三や入学式には袋帯や名古屋帯

七五三や入学式などの行事には、袋帯や名古屋帯を合わせます。派手すぎない印象の装いにすることで、お子様を引き立てることを心がけましょう。文様は、七五三の季節に合わせた菊や萩といった花模様、紅葉が好まれます。また、有識文様や吉祥文様などは季節に関係なく、お祝いごとに使われる文様です。帯の結び方は二重太鼓結びにしますが、リボン太鼓のように二重太鼓をアレンジして華やかさや可愛らしさを表現するのもよいでしょう。

お茶会や食事会には袋帯やしゃれ帯

お茶会や食事会に出向く際には、その会の格式や趣旨に応じた帯を選ぶことが大切です。格式の高い会であれば、フォーマルに準ずる金銀糸をあしらった古典柄の袋帯がふさわしいでしょう。あまり堅苦しくない会では、紬の訪問着にしゃれ帯を合わせるのも粋で、大人の女性を演出できます。

 

参考:帯ときものの一般的な取り合わせ|西陣織工業組合

訪問着の買取相場の特徴と影響をおよぼす要因

訪問着を売る際の買取相場に影響をおよぼす要因は、大きく分けて以下の3つがあります。

・呉服屋あるいは百貨店で購入したもの
・人間国宝や皇室献上作家が手がけている
・素材が正絹

 

ここでは、訪問着の買取相場の特徴と影響をおよぼす3つの要因について解説します。

数千円から百万円を超えるものまで買取価格はさまざま

購入時の価格にもよりますが、訪問着は未婚既婚を問わずあらゆる年代の女性が着用できるため、高値で取り引きされやすい着物の代表となっています。手描きや手染めの訪問着の需要が高いものの、ポリエステルで織られたものは、買取価格がつきにくい傾向にあります。そのため、訪問着の種類によって、数千円から百万円を超えるものまで買取相場の幅が広いことが特徴です。

有名呉服店あるいは百貨店で購入したもの

百貨店や呉服店で購入した訪問着は社会的信用が高いため、高値での買取りに期待がもてます。百貨店は、呉服商を起源としている松坂屋・三越・大丸、有名呉服店にはゑり善や、志ま亀、千總(ちそう)などが挙げられます。

 

2020年2月に開催された展示会で、千總(ちそう)から、訪問着「襲(かさ)ね格子(ごうし)」が1,650万円(税込)で出品され話題となりました。有名呉服店や百貨店の訪問着は希少性があり高額なものも多いため、高値での買取対象になるのです。

 

参考:1000万円超え高額呉服づくり 超絶技巧、緊張の現場|朝日新聞|2020年2月12日

人間国宝や皇室献上作家が手がけている

人間国宝や皇室献上作家が手がけた着物は、美術品と称されることも多く、通常の着物に比べると購入価格が高額になるため、買取りにおいても高評価を得ることができます。有名作家には、人間国宝には北村武資、福田喜重や京友禅では皇室献上作家の藤井寛、第一人者である松井青々(せいせい)が挙げられ、最高級訪問着を手がけています。もちろん作家によっても弟子が踏襲して手がけたものなどにより買取相場は変わりますが、高値になることは間違いないでしょう。

生地が絹

絹で織られた生地は高級品であり、特に絹100%で織られた正絹(しょうけん)の訪問着も高値につながりやすいです。訪問着が絹で織られたものか、手触りや見た目で見分けることは容易ではありません。訪問着の反物に、「日本の絹マーク」もしくは「純国産絹マーク」がついていれば、本物の絹製品であることが証明されます。どちらも、(一財)大日本蚕糸会が使用許諾をした登録者に与えられます。

 

<日本の絹マーク>
絹織物のうち、日本で織られた白生地および日本で染織された着物(反物、仮絵羽)や帯につけられます。海外から輸入した生糸から国内で生産した着物であることの証明です。

引用:日本の絹マーク|一般財団法人大日本蚕糸会

 

<純国産絹マーク>
日本の絹マークには、絹糸の産地について規定がないため、海外産の絹が使われるものも混在していましたそこで、純国産の絹糸で生産された白生地であることを明らかにするため、純国産絹マークが作られました。生産履歴ならびに登録者名が記載されています。

引用:純国産絹マーク|一般財団法人大日本蚕糸会

訪問着を高く売るためのポイント

訪問着は、高値での買取りが期待できるため、少しでも高く売りたいと考える方は多いでしょう。高く売るためには、主に5つのポイントがあります。

・お手入れが行き届いている
・証紙が付いている
・丈は長いほうが良い
・できるだけ早く売る
・着物専門店で売る

 

ここでは、訪問着を高く売るためのポイントをご紹介しますので、参考にしてみてください。

お手入れが行き届いている

お手入れが行き届いて、カビや黄ばみがないことが、少しでも高く売るための重要なポイントです。どの種類の着物も、しっかり乾燥させることが大切です。お手入れの仕方は次の通りです。

・着用後は、ほこりを払い、風通しのよいところで陰干しをしましょう。直射日光や窓の近くを避けて、一晩ほどつるすのが理想的です。風通しのよい部屋であれば、数時間程度でも効果があります。湿度が高い時期は、エアコンや扇風機を利用するのもよいでしょう。

・袖口や衿など汚れやすいところは、硬く絞ったタオルで拭き取りましょう。汚れをとる際には、決して擦ってはいけません。特に刺繡や金銀箔は丁寧に扱うようにします。目立つ汚れは、できるだけ早く購入した店舗もしくは着物専門のクリーニングに相談してみてください。

・正しくたたみ、たとう紙に包みましょう。保管するときは、湿気を避けることが大切です。桐のタンスが理想的ですが、桐の着物専用ケースがお手頃な価格で売られていますのでおすすめです。収納の際には、着物用の防虫剤を使いましょう。

・着物は、定期的に虫干しをして湿気を払います。雨の翌日を避けて、乾燥している日に正午をはさんだ時間帯で4~5時間ほど陰干しするのが効果的です。虫干しと同時にたとう紙や防虫剤を交換しましょう。
しわや黄ばみ、カビが発生しないよう、丁寧にお手入れしておくと、買取時も高値が付きやすくなります。

証紙がついている

京友禅、加賀友禅、大島紬、琉球紅型、西陣織など有名産地の着物には、産地の証明と品質の証となる証紙(商標登録)がついています。この証紙の有無も高額買取の決め手となります。重要無形文化財や伝統的工芸品などの着物に対して発行されるもので、生産地域の組合などが検査し発行しています。

 

<西陣織の証紙>
西陣の着物地には、以下のような証紙がついているものがあります。地域団体商標「西陣御召」を製織する織物メーカーが西陣御召の振興に寄与するために設立した団体が発行しています。

引用:御召機の証|西陣きもの会

 

<大島紬の証紙>
手織りの場合は、「本場大島紬織物協同組合」の検査に合格すると、水色の台紙に旗印の証紙が貼られます。また、経済産業大臣指定の伝統的工芸品として伝統証紙も同時に貼ることになっています。

引用:本場奄美大島紬の証明|本場奄美大島紬協同組合

 

機械織りの場合は、手織りとは別の地球印の証紙が貼られています。伝統証紙は貼られていません。手織りと比較すると違いは歴然としていますが、伝統証紙の有無で、手織りか機械織りかを判別できます。

引用:本場奄美大島紬の証明|本場奄美大島紬協同組合

 

同じ種類の訪問着であっても、上記のように染め方や織り方が異なるものがあり、証紙の違いでそれらを判別することができます。この証紙が高値での買取りに欠かせません。査定の際には着物と合わせて準備しておきましょう。

落款がある

また、有名作家が手がけた訪問着には、落款と呼ばれる着物の作者を示す印鑑のようなものが刻印されています。落款が刻印されている場所は、おくみ(襟から裾 までの細長い半幅 の布)もしくは衿先にあります。

 

<加賀友禅作家の落款>
加賀友禅作家の落款は、以下のようなものがあります。

引用:落款|加賀友禅|加賀友禅会館

 

加賀友禅作家は、加賀染振興協会に落款を登録しています。同じ加賀友禅であっても、染め方・織り方・柄に違いが現われますが、着物に詳しくない方にとっては、誰の作品なのかを見極めることは困難です。しかし、登録されている落款と比較することで、作者を特定することができます。

訪問着の価値を判断する材料になるため、有名な着物作家の落款がついていれば、高値での買取りが期待できます。ただし、落款の真偽は、経験豊富な査定士による鑑定が必要です。

丈は長いほうが良い

少しでも高く売るためには、丈の長さも影響します。丈の長さは短いよりも長い方が、高く売れる傾向にあります。なぜなら、次に購入する人の身長や体型に合わせて、仕立て直しが必要になる場合があるためです。日本人女性の平均身長は約158cmで、外国人の購入までを視野に入れると、丈の長い訪問着が求められます。ただ、古い着物は一般的に丈が短いため、現代の日本人女性の体型に合わないものも多く、買取りの際にマイナスになることもあります。とはいえ、丈の長さだけが査定のポイントではないので、実際に査定してもらって確認しましょう。

できるだけ早く売る

少しでも高く売るためには、処分を決めたらできるだけ早く売りましょう。着物は時間の経過による状態の劣化を防ぐ意味で、早めの売却が求められるためです。また、訪問着に合わせる帯や帯締めといった小物も一緒に買い取ってもらうのもよいでしょう。訪問着と帯を組み合わせて使うため、他の着物には合わないこともあるかもしれません。訪問着の状態が良いうちに、買い取ってもらうことをおすすめします。

着物専門店で売る

訪問着の買取りは、やはり正しい価値を判別できる着物専門店がおすすめです。訪問着は高価なものですから、損のないように正しく見極めてもらわなければいけません。したがって、着物の専門知識をもった鑑定をしてもらうことが重要なのです。できるだけ実績の高い着物専門店を選んだ上で、複数の業者に査定を依頼しましょう。最近では、業者のホームページや電話で査定を申し込むことが可能です。無料査定を行っている業者を活用して、複数の業者から見積もりをとって比較することをおすすめします。

最後に

本記事では、訪問着の特徴や帯の選び方、訪問着の買取相場や高く売るためのポイントについて解説しました。訪問着は未婚既婚に関係なく着用でき、帯とのコーディネートによって、結婚式からちょっとしたお出かけまで活用できます。日頃からお手入れを欠かさず、いつでも着られるようにしておくことが大切です。もし、着る予定がなく処分するなら、ぜひ着物専門買取業者に査定してもらうことから始めてみてください。

この記事を書いた人

着物買取の窓口編集部

はじめての着物買取で生じる様々な疑問にお答えできるメディア「着物買取の窓口」を運営する編集部です。着物の正しい知識とリアルな体験談を主軸に情報をお届けします。

この記事の監修者

ナヴィカス祐木

津田塾大学大学院修士課程修了。大学在籍時に着付けを始め、若干20代で着付け師としてデビュー。毎年成人...