留袖とは?黒留袖・色留袖の特徴や文様からそれぞれのコーディネートまでを解説

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留袖というと黒留袖をイメージする方が多いかと思いますが、留袖には黒留袖と色留袖の2種類があります。どちらもお祝いごとの装いですが、それぞれの特徴を知ったうえで、着用しましょう。本記事では、留袖の基本知識として黒留袖と色留袖の特徴や留袖に使われる文様、コーディネートについて、さらに高値買取が期待できる留袖の共通点も解説します。

留袖とは

留袖(とめそで)とは、女性がお祝いごとで着用する格式の高い着物です。地色が黒の留袖を黒留袖、地色が黒以外のものを色留袖といいます。女性がお祝い事で着用できる格式の高い着物に振袖がありますが、留袖とはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、留袖とはどのようなものか詳しく解説します。

既婚女性の最も格の高い着物

留袖とは、女性が結婚式などフォーマルなシーンで着ることができる最も格の高い礼装着物のひとつです。着物には着る時や場所、目的に対する基準があり、このことを着物の「格」といい、選ぶべき着物を見極めることができます。格の高い順に礼装、準礼装、盛装、普段着の4つに分けられます。黒留袖は礼装、色留袖は準礼装にそれぞれ該当し、既婚女性は黒留袖と色留袖、未婚女性は色留袖を着用するしきたりです。

黒留袖は黒地の留袖

黒留袖とは、地色が黒の留袖のことです。生地には地模様のないちりめんが使われ、その種類は主に絹で織られた一越(ひとこし)、浜ちりめん、丹後ちりめんになります。また、黒留袖のつややかな黒は、引き染め(刷毛を引いて染める技法)で染められ、裾周りに金彩・銀彩があしらわれた華やかな模様が描かれています。紋を入れるため、帯から上には模様がないのが特徴です。

色留袖は地色が黒以外の留袖

黒留袖に対して、地色に黒以外のさまざまな色が使われているのが色留袖です。生地には、地模様があるものと無地のものもあります。その種類は、主に絹で織られた光沢のある綸子(りんず)や紋意匠(もんいしょう)ちりめんなどです。また、黒留袖と同様に帯から上には模様がなく裾周りに描かれます。

留袖と振袖の違い

留袖も振袖も格式の高い第一礼装の着物にあたります。未婚女性であれば振袖、既婚女性は留袖を第一礼装とします。留袖と振袖の形の違いは袖丈の長さにあります。では、そもそもなぜ留袖というのでしょうか。

留袖のもとになる婚礼衣装としての振袖の登場は、江戸後期にさかのぼります。当時、女性は18歳になると振袖の袖を短くし身八つ口(身頃の脇のあき部分)も縫ってふさぐ習慣がありました。長い袖を縫い留めることから留袖と呼び、さらに黒地の着物を既婚女性の式服とする習慣が生まれ、黒留袖と呼ぶようになりました。また、明治初期の婚礼衣装で一般的だった「黒引き振袖」を結婚後に袖を短く切り黒留袖にしたといわれています。

 

参考文献:橋本澄子著『図説 着物の歴史』河出書房新社、装道きもの学院/編『きもの入門』主婦と生活社

監修者コメント

ナヴィカス祐木

留袖は、袂が短く、江戸褄模様が描かれた着物をいいます。
江戸褄模様とは、腰から下の裾部分にのみ柄を配したものをいい、上半身に全く模様がないのが特徴です。留袖には地色が黒色の黒留袖と地色が黒色以外の色留袖があります。
黒留袖、色留袖を目にするのは共に結婚式が多いでしょう。特に黒留袖は新郎新婦の母親が着ることでも知られているので、印象に残っているという方も多いのではないでしょうか。対する色留袖は、席について裾がテーブルに隠れてしまうとあまり目立ちません。帯上(上半身部分)が着物の地色と紋しかないので、周りに華やかな訪問着、振袖などを着られている方がいるとあまり印象に残らないかもしれません。
いずれにしても、紋が五つ付いていれば、最礼装になる着物です。結婚式で新郎新婦の新関側になった時には積極的に着たい着物です。

黒留袖の特徴

黒留袖は最も格の高い礼装着物のひとつで、他の着物にはない特徴があります。
黒留袖には、5つの染め抜き日向紋を付けるのが決まりです。また、白羽二重を重ね着しているように見せる比翼仕立てを用いるのも黒留袖の特徴です。新郎新婦の母親、親族、仲人夫人が着用します。ここでは、これらの特徴について解説します。

五つの染め抜き日向紋

黒留袖には、背縫い・両後ろ袖・両胸の5ヶ所に必ず家紋が入っています。着物は紋の数が多いほど格が高くなり、黒留袖には最高の五つ紋になるのです。紋の大きさは、男性は直径約3.8cm、女性は直径約2.0cmと決められています。

紋の表現にも種類があり、最も格の高い染め抜き日向紋(ひなたもん:紋の形を白く染め抜いたもの)が用いられます。家紋が分からない方は、ご先祖のお墓や御仏壇で確認できますし、父方の両親もしくは親戚に尋ねるとよいでしょう。

比翼仕立てで仕立てられている

黒留袖は、比翼仕立てという方法で仕立てられています。比翼仕立ての着物は、格式高い着物であることを表しています。比翼仕立てとは、衿や裾、袖口、振りに比翼地(ひよくじ)という白い布を縫い付け、着物を重ねて着ているように見せる仕立て方のことです。正式な比翼地には、白羽二重を使います。祝い事が重なると縁起が良いという意味合いがあります。

ただし、古い黒留袖の場合は、白い着物を下着として着ていたために付いていないこともあります。もし付いていないようなら、白羽二重の下着を着るか、比翼仕立てに仕立て直してもらうとよいでしょう。

新郎新婦の親族である既婚女性や仲人夫人の装い

黒留袖を着る機会は、結婚式や披露宴が一般的です。お子様の結婚式に出席する母親や仲人夫人が着用します。最も格式の高い装いには、列席者に礼を尽くし、感謝の気持ちを表す意味が込められているのです。また、新郎新婦の親族(祖母、姉妹、おば)である既婚女性も着用することができます。

結婚式以外では、結納式の際に新郎新婦の母親、仲人夫人が着用することもあります。装いの格については、両家親族の装いを揃えることが好ましいため、両家の考えをあらかじめ確認しましょう。

黒留袖と喪服着物の違い

黒留袖と喪服着物はどちらも礼装着の一種です。黒留袖は結婚式など慶事で着用し、喪服着物は葬儀や通夜などの弔事で着用します。

喪服着物は、大きく分けて正喪服と準喪服の2種類に分けられます。正喪服は喪服の中で最上格のもので、黒で地模様のない無地に黒留袖と同じく五つ紋をつけます。ただし、紋の種類は黒留袖が染め抜き日向紋、正喪服は白抜き紋です。また、悲しみが重ならないようにという意味合いから、黒無地の名古屋帯を一重太鼓に結びます。

つまり、黒留袖と正喪服は同格であり、フォーマルなシーンの装いであることは共通しています。大きな違いは、上記にご紹介したように、慶事か弔事という着用の目的による装いの違いにあります。

監修者コメント

ナヴィカス祐木

ミセスの慶事の第一礼装として知られる黒留袖は、正式名称を「日向五つ紋付黒地裾模様の留袖」といいます。あまり知られていませんが、我々がよく使っている呼称は略称なのです。正式名称からも分かるように、日向の五つ紋が黒留袖の正式な紋の付け方であり、着物の模様も裾周りだけ(江戸褄模様)と決まっています。

黒留袖は「付け比翼」と呼ばれる比翼仕立てになっています。これは十二単衣の重ね着の名残とされており、重ね着することで改まった気持ちを表しています。

黒留袖は最礼装なので、重厚な装いに仕上がるよう気を配る必要があります。
長襦袢や襟が白色なのはもちろん、帯揚げ、帯締めに至るまで白色で統一するのが習わしです。更にバッグや草履は金銀織の布製のものを持つのがフォーマルなので、できる限りエナメル製のものは避けましょう。帯締めは平織でも丸織でもどちらでも構いませんが、幅広のものを用いるのが望ましいとされています。

色留袖の特徴

黒留袖は五つ紋や比翼仕立てであることが決まりごとでしたが、色留袖の場合は、着物の格によって紋の数や仕立て方が変わるため注意が必要です。ここでは、色留袖の紋の数や仕立て方、着用できる人、合わせて色留袖と似ている訪問着との違いについても解説します。

紋の数で着物の格式が異なる

色留袖は、紋の数が多いほど格が高く、紋の数によって格が決まります。最高の格である黒留袖は五つ紋であり、格が変わることはありません。対して、色留袖の紋の数は五つ紋、三つ紋、一つ紋のいずれかをつけることができるのです。

五つ紋であれば黒留袖と同格になり、親族の結婚式や披露宴といった格式を重んじる式典に着用できます。三つ紋や一つ紋は友人など親族以外の結婚式やセミフォーマルなパーティー、なお、一つ紋は三つ紋よりもカジュアルな要素が強くなり、お子様の入学式や卒業式での着用が可能です。格が高すぎても低すぎても不適切になるため、紋の数には注意しましょう。色留袖の格が紋の数によって上下することは、着物の決まりごとのなかでも特殊なものですから、正しく覚えておく必要があります。

比翼仕立てと袷仕立てのどちらかで仕立てる

色留袖は、比翼仕立てと袷仕立てのどちらかの方法で仕立てることができます。ただし、色留袖の格に合わせて仕立て方を選択しましょう。色留袖に五つ紋を付けるのであれば、黒留袖同様に比翼仕立てとし、三つ紋や一つ紋の場合は袷仕立てにしなければいけません。

比翼仕立ては、留袖特有の仕立て方です。そのため、セミフォーマルな場に比翼仕立ての色留袖はふさわしくありません。結婚式以外のセミフォーマルな場で色留袖を着用する機会が多いようであれば、袷仕立てに直してもらうようにしましょう。

未婚・既婚問わず着用できる

未婚女性の礼装着といえば振袖のイメージがありますが、色留袖も未婚女性も着用することができます。18歳あるいは結婚すると(諸説あり)振袖の袖を短く切って留袖にしたり、結婚式で着用した黒引き振袖の袖を短く切って黒留袖にした経緯があり、色留袖も黒留袖同様に女性の礼装着物でした。色留袖は、留袖を未婚の女性にも着用できるようにしたもので、現在では準礼装着物の位置づけになっています。

つまり、既婚女性の装いである黒留袖とは異なり、未婚・既婚を問わず幅広い年代の女性が着用できる着物ということです。また、色留袖は紋の数で格式が大きく変わることが大きな特徴です。多様なシーンで着用できるからこそ、着用する場や立場を踏まえて、ふさわしい紋の数を選ぶ必要があります。

新郎新婦の親族である女性の装い

色留袖は、新郎新婦の親族である女性の未婚・既婚に関係なく着用できます。先にご紹介した通り、黒留袖は新郎新婦の親族である既婚女性も着用することができます。しかし、親族は必ず黒留袖を着るわけではありません。親族の女性は、三つ紋の色留袖を着用しても良いのです。また、10代や20代の未婚女性では、色留袖と同格の振袖を着用することが一般的とされています。

色留袖と訪問着の違い

色留袖と訪問着は、一見すると見分けがつかないと思う方が多いようです。その違いは、以下に示す3つのポイントで見分けることができます。

 

・模様の付き方
・紋による着物の格
・仕立ての違い

 

続いて、3つのポイントについて解説します。

模様の付き方

色留袖は、紋を入れるため帯から上には模様がなく裾回りに模様があります。訪問着には、絵羽と呼ばれる模様付けがあり、縫い目にまたがって着物全体に模様が広がっています。この見た目の違いが最も分かりやすく、帯から上に模様があるかどうかで見分けることができます。したがって、帯から上に模様があれば訪問着、そうでないものは色留袖です。

紋による着物の格

色留袖は準礼装の着物で、五つ紋にすることで黒留袖と同格の礼装着物に格が上がります。訪問着は基本的に準礼装に該当しますが、盛装としてちょっとしたお出かけの外出着にも着用が可能です。色留袖は三つ紋と一つ紋どちらも準礼装ですが、訪問着は紋の数が減ることで準礼装から盛装と格が下がる場合があります。色留袖は格が上がることはあっても、格が下がることはなく、ちよっとしたお出かけにはふさわしくない点で、訪問着とは大きな違いがあるのです。

仕立ての違い

色留袖には、比翼仕立てと袷仕立てがあります。訪問着を比翼仕立てにすることはありません。衿や袖口などに比翼地がついていて、着物を重ねて着ているように見える場合は色留袖となります。ただし、色留袖が袷仕立てになっている場合は、訪問着と同じになるため、模様の付き方で確実に見分けることができます。

監修者コメント

ナヴィカス祐木

色留袖は、五つ紋を付けることで黒留袖と同格に、三つ紋、一つ紋と紋を落とすことでパーティーなどでも着られる着物になります。

ちなみに、宮中の行事に参加する際には黒留袖は着られないので、五つ紋の色留袖を着るようにしましょう。もともと宮中では黒色が望ましくない色であり、御法度とされています。そのため、叙勲式や晩餐会では必ず色留袖が最礼装として着られます。

色留袖を着る場合、華やかな地色や帯の柄によっては帯留めを用いたいと考えられる方もいるでしょう。帯留めを用いるのであれば、五大宝石を始めとした豪華な石が用いられたものが良いでしょう。

色留袖は若い方も着ることができますが、着るならば柄が腰のところまで入った華やかなものを選びましょう。柄が下の裾付近にしかない色留袖はどうしても地味な印象を与えます。20代~40代で色留袖を着るのであれば、帯下いっぱいに柄が広がるものがおすすめです。

留袖の文様

留袖の文様は裾回りに配置され、縫い目で途切れない絵羽模様になっています。高級感漂う色彩が特徴です。また、おめでたい場での装いになるため、お祝いを意味する縁起のよい文様が使われています。ここでは、留袖の文様について解説します。

縫い目で途切れない絵羽模様になっている

留袖には、絵羽と呼ばれる模様づけがあります。絵羽模様とは、縫い目にまたがってついている模様のことで、着物を広げると1つの絵のように見えるのが特徴です。留袖は裾回りに模様が広がっており、これを「裾模様」と呼びます。格の高い着物の特徴でもあり、留袖のほかに振袖、訪問着に用いられています(ただし、振袖については絵羽模様でないタイプもあります)。

金銀プラチナや刺繍などを施した高級感漂う色彩

留袖は、その格にふさわしい高級感漂う色彩が特徴です。ここでは、留袖に用いられることの多い相良刺繍をご紹介します。相良刺繍は、日本刺繍の基礎技法で、撚りが少ない絹糸で結び玉を縫いこんでいきます。日本の着物には最高の技法とされ、平面に広がる刺繍とは異なり、ビーズ細工のように連ねた立体感があります。金銀やプラチナの糸や箔を使い、上品で華やかに文様を引き立てているのです。

慶事にふさわしい伝統的な柄

留袖には、慶事にふさわしい多種多様な伝統的な古典文様が用いられています。留袖を選ぶ際の目安として覚えておくとよいでしょう。ここでは、代表的な吉祥文様(きっしょう)、有職文様(ゆうそく)、御所解文様(ごしょどき)と現代の留袖に人気の洋花文様も合わせて解説します。

吉祥文様

最も多用されているのが吉祥文様です。縁起の良い幸福のしるしとして用いられる文様で、長寿の象徴の鶴亀、菊、おめでたいとされる松竹梅、鳳凰、おしどり、熨斗(のし)、宝船、梅・蘭・竹・菊の花が揃った四君子などがあります。器物文様に分類される道具や生活用具を文様化したものも多く、打ち出の小槌や宝剣、巻物も描かれています。

有職文様

有職文様は平安貴族の調度品や装束に用いられた文様で、格調高く重厚な趣きがあります。同じ紋様を前後左右に連続させ規則的に繰り返す幾何学文様です。三角形をならべた鱗紋、長方形を割りつけた石畳紋(さらに細かいものを霰文:あられもん)、正方形を交互に並べた市松紋、六角形をつなげた亀甲文様、円形で構成させた七宝紋などがあります。

御所解文様

江戸時代後期に高位の御殿女中に好まれた文様で、柄は源氏物語といった平安文学や能楽をモチーフにしたものも多くあります。山水、御殿、御所車が描かれ、松、梅、桜、藤、萩といった四季折々の植物紋様も組み合わされています。全体が物語の一場面を想起させるような風景文様です。

洋花文様

日本の伝統的な和花に対して、西洋から入ってきた洋花を文様化したものも多く描かれています。ベゴニアやダリアは明治時代からみられ、現在でも人気のモダンな印象の文様です。また特定の花ではなく、和花にもない架空の花も洋花文様に含まれます。

 

参考文献:藤井健三著『格と季節がひと目でわかる きものの文様』世界文化社

監修者コメント

ナヴィカス祐木

留袖の文様は着物の裾部分にだけ施されています。上半身部分は家紋が入れられることを念頭に、柄は入れられていないのです。
裾だけに柄が広がっていることから江戸褄とも呼ばれる留袖ですが、裾模様には華やかな柄が用いられることでも有名です。動物であれば、昇り龍や昇り鯉、鳳凰、鷹、鶴、亀などが描かれることが多いです。特に龍などの怖い生き物は着る人を選ぶので、気になる方はまず試着することをおすすめします。
動物ではない柄であれば、古典的な柄である吉祥文様、正倉院文様などがよく用いられます。おめでたい意味と使いやすい柄行が大変人気です。吉祥文様も一つ一つに意味があるので、気になる方は調べた上で留袖をお買い求め下さい。

黒留袖におけるコーディネートのポイント

初めて黒留袖を着る際に知っておきたいのが、フォーマルの場に応じたコーディネートです。コーディネートは黒留袖と帯だけではありません。帯揚げや帯締め、末広(扇子)の小物との統一感が大切です。それぞれ決まりごとがあるため、コーディネートのポイントについて解説します。

合わせる帯と結び方

黒留袖に合わせる帯は、金銀糸を使用した格調の高いものを選びましょう。帯には着物と同様に格があり、格の高い順に、丸帯、袋帯、九寸名古屋帯、八寸名古屋帯となります。このうち黒留袖に合わせるのは袋帯です。袋帯とは、表と裏に別の生地を使って、袋状に織られた帯のことです。

結婚式でお客様をお迎えする立場では、礼儀を尽くし感謝の意を表すため、帯は金地もしくは銀地がふさわしいとされています。唐織(からおり)、綴織(つづれおり)、西陣織(にしじんおり)といった織物を合わせましょう。なお、黒留袖の帯は太鼓結びを二重にした「二重太鼓」で結ぶというのが決まりごとです。

帯揚げ

帯枕(おびまくら)を包んで整えるための布のことで、黒留袖には白が基本の色です。白無地のほかに、金糸や銀糸が織り込まれているものでも構いません。生地は絹で織られた綸子(りんず)や総絞り、ちりめんのものを合わせます。華やかさを出したい方には、強い光沢のある綸子に金銀糸の刺繍が入ったものもおすすめです。

帯締め

帯が崩れないように固定するための紐のことです。帯の中央で締めて、帯の崩れを防止する機能面でもコーディネートとしても重要な役割を果たします。帯揚げの色と揃えて、白を選びましょう。もちろん、金銀糸が入ったものも格式があり好まれる傾向にありますが、帯締めは白を基調に金銀糸を用いるのであれば、帯揚げは、白無地にすると上品な印象になるでしょう。

末広

留袖の帯に挿しておく小ぶりの扇子のことです。祝儀扇(しゅうぎせん)とも呼ばれ、結婚式や披露宴などの慶事で使用します。黒塗りに金もしくは銀の地紙が扇面に貼られたものが一般的です。左胸側で帯と帯揚げの間に挿しましょう。あくまでも儀式の形式的な扇子ですから、あおぐことはしません。

新郎新婦の母様や仲人夫人は、写真撮影や立礼(列席者のお迎え・お見送り)の際に末広を手に持つ機会があります。それ以外は、帯に挿したままにしておきましょう。

色留袖におけるコーディネートのポイント

色留袖の基本的なコーディネートは黒留袖と大きく変わりませんが、豊富な色から選べることで気をつけるポイントが異なります。ここでは、色留袖のコーディネートのポイントとして、紋の数や合わせる帯と結び方、帯揚げと帯締め、末広の4つについて解説します。

紋の数を確認することが重要

色留袖は、黒地以外の色から選び、季節やご自身に似合う色を取り入れたコーディネートが可能です。結婚式では親族以外の女性も着用できるため、紋の数を確認する必要があります。招待された立場であれば、五つ紋の色留袖を着用すると親族の格を越してしまう可能性があるためです。格を控えるのが決まりごとですから、必ず紋の数を確認しておきましょう。

合わせる帯と結び方

黒留袖と同じく、金銀糸を使用した格調の高い袋帯を二重太鼓結びにします。ただし、色留袖は既婚未婚に関係なく着用できるため、若い女性であればアレンジを加えた変わり結びもよいでしょう。格調の高い帯ですから、二重太鼓結びも変わり結びも緩みがないように結ぶ必要があります。

帯揚げと帯締め

帯揚げや帯締めの色は、白地以外の淡い色のものでも構いません。また、色を合わせておくと統一感が出ます。生地は綸子や絞りで、金銀糸の刺繍があるものが華やかでおすすめです。ただし、五つ紋の場合は黒留袖と同じように白を基調としたコーディネートにしましょう。

末広

末広は、黒留袖と同じ黒塗りに金もしくは銀の地紙が扇面に貼られたものが一般的ですが、留袖用の白骨タイプも使うことができます。白骨タイプは格下扱いになるため、五つ紋の色留には使うことができません。さらに骨部分の材質が竹製のものは、色無地や訪問着を着用する際に携えることになっています。花嫁用の末広も白骨ですが、白の房や房用の丸環が付いていますから、間違えないよう注意しましょう。

留袖の正しいお手入れと保管方法

留袖を着用したあとは、正しくお手入れを行ってから収納しましょう。留袖の美しさを長持ちさせるためには、保管方法も重要になります。ここでは、着用後の陰干しから正しいたたみ方、保管方法、虫干しの仕方まで解説します。

着用後は陰干しする

着用後の留袖は、きもの用ハンガーにかけて必ず陰干しをしましょう。湿気を含んだままタンスにしまうとカビや黄ばみの原因になります。直射日光を避けて、一晩ほどつるすのが理想的です。長く干しっぱなしにすると型崩れの原因になるので注意しましょう。風通しのよい部屋であれば、数時間程度でも効果があります。湿度が高い時期は、エアコンや扇風機を利用するのもよいでしょう。

ほこりや汚れをとる

陰干しの後は、タオルやブラシを使ってほこりを払いましょう。汚れのチェックは必ず明るい部屋で入念に行います。一見して汚れがないようでも、留袖の衿や比翼の衿、袖口などは汚れやすいためです。また、汚れがあれば硬く絞ったタオルで拭き取っておきます。ほこりや汚れをとる際には、決して擦ってはいけません。特に刺繡や金銀箔は丁寧に扱うようにします。目立つ汚れは、できるだけ早く購入した店舗もしくは着物専門のクリーニングに相談してみてください。

長方形になるよう正しくたたむ

最終的に長方形になるように正しくたたみます。着物の基本的なたたみ方は「本だたみ」です。縫い線に沿ってたためばよいので、チャレンジしてみてください。

 

本だたみは以下の手順で進めます。

 

<本たたみの手順>

 

①下前の袵(おくみ)を袵線(脇縫いの縫い目)で手前に折り返す
②上前の襟(えり)と袵を下前に合わせて重ねる
③左右の身頃と袖を重ねる
④左袖を身頃の上に折り返す
➄身頃の丈を2つ折りにする
⑥着物を向こう側に返し、右袖を身頃に重ねる
⑦さらに小さくたたむ(たとう紙や収納場所に収まるサイズに合わせる)

 

参考:着物のたたみ方|京染卸商業組合

保管するときは湿気を避ける

保管するときは湿気を避けることが大切です。正しくたたんだ後は、たとう紙に包んで収納します。さらに、刺繍や金銀糸の部分には別の紙を挟んでおきます。収納は桐タンスが良いといわれますが、持っていないという方もいらっしゃるでしょう。ステンレスやポリ容器は通気性が悪く、段ボールは湿気を吸いやすいため、着物の収納には不向きです。お手ごろな価格の桐製衣装ケースもありますから、ぜひ購入を検討してみてください。

着物用の防虫剤を使う

タンスや衣装ケースに収納する際に、着物用の防虫剤を使いましょう。その際、種類の異なる防虫剤を併用するのは危険です。化学反応を起こすおそれがあり、シミや変色の原因になることがあります。また、着物に直接触れないように、たとう紙の上から四隅に置きます。置きっぱなしにすると着物の変色の原因にもなり、防虫効果も弱まるので、少なくとも1年に1回の交換が必要です。

定期的に虫干しをする

定期的に虫干しをして湿気を払います。収納したままにしておくと、乾燥剤を入れていたとしても湿気はたまりがちだからです。カビや変色、虫食いなどの点検を兼ねて、1年に1度は虫干しをしましょう。

虫干しに適した時期は、土用干し(7月下旬〜8月下旬)、虫干し(10月下旬〜11月下旬)、寒干し(1月下旬〜2月下旬)の3回です。雨の翌日を避けて、乾燥している日に正午をはさんだ時間帯で4~5時間ほど陰干しするのが効果的です。着物の虫干しと同時にたとう紙を交換したり、タンスの引き出しや衣装ケースもほこりをはらい乾燥させましょう。

高値買取が期待できる留袖の共通点

留袖は、格式が高い礼装着物でもともとの価値が高いため、他の着物よりも買取価格が比較的高い傾向にあります。ただし、どのような留袖でも高値がつくわけではなく、高値での買取りが期待できる留袖の共通点は、以下の6点です。

 

・有名呉服店あるいは百貨店で購入したもの
・伝統的古典柄である
・生地が正絹
・保存状態が良い
・有名作家が手がけている
・証紙が付いている

 

続いて、1つずつ解説します。

有名呉服店あるいは百貨店で購入したもの

百貨店や呉服店で仕立てた留袖は、高値で買い取ってもらえることがあります。呉服商を起源としている松坂屋・三越・大丸といった百貨店や有名呉服店のゑり善や・志ま亀・千總(ちそう)などは、希少性の高いものや上質なものを扱うことが多く、社会的な信用度が高いためです。

伝統的古典柄である

慶事に着用される留袖は、伝統的な古典柄の需要が高いため買取りしてもらいやすいです。古典柄は流行に左右されることがなく、時代を選ばない点が好まれます。文様には意味があり、吉祥文様は縁起の良い松竹梅や亀甲、流水、霞、七宝が多く見られます。そのため、嗜好性の高い現代的な柄は高価買取が期待できないケースもあります。

生地が正絹

正絹(しょうけん)とは、絹100%で織られた高級生地です。そもそも着物1枚に3000もの繭が必要で、大量生産できない素材であることが高級といわれる理由です。そこで、留袖が絹で織られていることを証明できれば買取価格がアップされるかもしれません。

絹生地には、「日本の絹マーク」もしくは「純国産絹マーク」がついていることがあります。どちらも、(一財)大日本蚕糸会が使用許諾をした登録者に与えられます。このマークがついていることで絹生地であることが証明できます。

 

<日本の絹マーク>
絹織物のうち、日本で織られた白生地および日本で染織された着物(反物、仮絵羽)や帯につけられます。海外から輸入した生糸から国内で生産した着物であることの証明です。

引用:日本の絹マーク|一般財団法人大日本蚕糸会

 

<純国産絹マーク>

日本の絹マークには、絹糸の産地について規定がないため、海外産の絹が使われるものも混在していました。そこで、純国産の絹糸で生産された白生地であることを明らかにするため、純国産絹マークが作られたのです。生産履歴ならびに登録者名が記載されています。

引用:純国産絹マーク|一般財団法人大日本蚕糸会

保存状態が良い

留袖に限ったことではありませんが、着物の買取りにおいて、保存状態は非常に重要です。保存状態や保管方法は買取価格に大きく影響するため、汚れやカビ、変色、虫食いなどはマイナスポイントです。今一度、手元にある留袖の状態を確認しましょう。万一、汚れがあったとしても諦めずに、査定してもらうことをおすすめします。

有名作家が手がけている

有名作家が手がけた生地には、落款が刻印されています。落款とは、留袖の作者を示す印鑑のようなものです。落款は、おくみ(襟から裾 までの細長い半幅 の布)もしくは衿先にあります。いわゆる作家物は、量産されていない生地ですから希少性も高く、購入価格も高価ですから、有名な作家の落款があれば高値で買取りしてもらえるでしょう。ただし、落款の真偽については、目利きのできる業者に依頼するのが安心です。

証紙がついている

高値がつく留袖には、証紙がついている場合があることも共通点です。証紙とは、産地ごとに定められた検査基準をクリアしたものに与えられる産地の証明と品質の証です。産地の組合が発行し、絹100%であるか、機械織りか手織りか、どのような染め方をしているかなどが記載されています。そのため、証紙がついていれば間違いなく高級品といえるのです。

京友禅、加賀友禅、西陣織など有名産地の着物には、産地の証明と品質の証となる証紙(商標登録)がついています。重要無形文化財や伝統的工芸品などの着物に対して発行されるもので、生産地域の組合などが検査し発行しています。

 

<西陣織の証紙>
西陣の着物地には、以下のような証紙がついているものがあります。地域団体商標「西陣御召」を製織する織物メーカーが西陣御召の振興に寄与するために設立した団体が発行しています。

引用:御召機の証|西陣きもの会

留袖を高く売るためのポイント

大切な留袖を買い取ってもらうのであれば、少しでも高く売りたいと考える方は多いでしょう。高く売るためには、主に5つのポイントがあります。

 

・帯も合わせて売る
・丈は長いほうが良い
・着物の価値を証明するものを付ける
・できるだけ早く売る
・着物専門店で売る

 

ここでは、留袖を高く売るためのポイントをご紹介しますので、参考にしてみてください。

帯も合わせて売る

留袖には、金銀糸を使用した格調の高い同格の袋帯を合わせます。袋帯は、結婚式やパーティー、入学式など多様なシーンで着用することができるため、買取価格が高くなる傾向にあります。留袖とセットで売ることでさらに買取価格のアップが期待できるのです。使う予定がなければ、思い切って査定に出してみるのも1つの考えです。

丈は長いほうが良い

少しでも高く売るためには、丈の長さも影響します。丈の長さは短いよりも長い方が、高く買い取ってもらえる傾向にあります。現代の女性の平均身長は約158cmで、昔に比べて手足が長く身長も高くなっています。着物の丈で重視されるのは、身丈・裄丈・袖丈です。

 

それぞれの長さは、以下のように測ります。

・身丈:首の後ろ中央からかかとの中央部分までの長さ
・裄丈(ゆきたけ):首の後ろ中央から腕のくるぶしまでの長さ
・袖丈:袖の上下の長さ

 

次に購入する人の身長や体型に合わせて、仕立て直しが必要になる場合があるため、これらの丈が長いほど仕立てやすくなり、高値での買取りにつながるのです。

証紙・落款など留袖の価値を証明するものをつける

先に紹介したように、証紙や落款、絹マークなど品質を証明できるものがあれば、査定時に伝えて提示しましょう。これらがあることで、瞬時に価値を証明できるため、高値での買取りが見込めるでしょう。ただし、証明するものがないからといって、偽物というわけではありませんし、買い取ってもらえないわけでもありません。査定時に確認してみましょう。

できるだけ早く売る

売ることを決めたら、できるだけ早く売りましょう。着物は時間の経過による状態の劣化を防ぐ意味で、古くならないうちに査定に出すほうが値段がつきやすいものです。留袖の状態が良いうちに、買い取ってもらうことも大切です。

着物専門買取店で売る

留袖の買取りは、やはり正しい価値を判別できる着物専門の買取店がおすすめです。もとは高価なものですから、損のないように正しく見極めてもらわなければいけません。したがって、着物の専門知識をもった業者に鑑定をしてもらうことが重要なのです。

また、買取店の公式サイトで、どのような着物の買取りに力を入れているか、キャンペーンを実施しているかどうかなども確認しましょう。最近では、業者のホームページや電話で査定を申し込むことが可能です。無料査定を行っている業者を活用して、複数の業者から見積もりをとって比較することをおすすめします。

最後に


本記事では、留袖の基本知識として黒留袖と色留袖の特徴や留袖に使われる文様、コーディネートについて、さらに高値買取が期待できる留袖の共通点や高く売るためのポイントを解説しました。留袖には黒留袖と色留袖があり、着用する女性が既婚か未婚か、紋の数や仕立て方に違いがあることをご紹介しました。これらを踏まえて、その場に応じた留袖や帯の種類を選んで、大人の女性としての装いを楽しんでみてください。

この記事を書いた人

着物買取の窓口編集部

はじめての着物買取で生じる様々な疑問にお答えできるメディア「着物買取の窓口」を運営する編集部です。着物の正しい知識とリアルな体験談を主軸に情報をお届けします。

この記事の監修者

ナヴィカス祐木

津田塾大学大学院修士課程修了。大学在籍時に着付けを始め、若干20代で着付け師としてデビュー。毎年成人...