着物クリーニングの種類と注意点を解説|汚れの原因や汚れを防ぐ方法も

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久しぶりに着物を着ようと思ったら、シミや汚れに気づくという方も多いのではないでしょうか。もう着られないのではないかと、諦めてしまった方もいるかもしれません。本記事では、汚れの種類と原因から汚れの状態に適したクリーニングや依頼先、普段からできる簡単なお手入れ方法について解説します。

着物をクリーニングに出す前に汚れの種類と原因を確認

着物をクリーニングに出す前に、汚れの種類や原因について確認しましょう。汚れに対して適切に対処するためには、原因を見極めることが重要になるためです。

 

着物の汚れは、大きく分けて以下のよう2つに分類できます。

 

  • シミ

 

  • カビ

 

それぞれの汚れとその原因について解説します。手元にある着物を広げて、どのような汚れがついているのかをチェックしてみましょう。

 

シミ

 

シミには、大きく分けて「水溶性」「油溶性」「不溶性」「混合性」という4つに分類できます。それぞれのシミについて解説します。

 

水溶性のシミ

 

水溶性のシミは、水に溶けやすい性質があります。コーヒーやジュースなどの飲み物、醤油など食事での汚れが比較的多いです。また、成分の99%以上が水分である汗でできたシミも含まれます。

 

油溶性のシミ

 

油溶性のシミは、水に溶けにくく油脂に溶けやすい性質があります。バターやソース、ファンデーションや口紅といった化粧品類、ペンのインクなどです。さらに、肌から分泌される皮脂も油溶性の汚れに含まれます。

 

不溶性のシミ

不溶性のシミは、水にも油脂にも溶けにくい性質があります。雨ジミと呼ばれる「泥はね」は、水分と砂・泥でできており、アスファルトによる油汚れも付着するケースもあります。なかなか落とせない書道の墨汁によるシミも不溶性です。

 

混合性のシミ

混合性のシミは、油脂だけでなく水分も含んでおり、油溶性と水溶性の両方の性質をあわせ持っています。一見、油溶性のシミのようにみえるドレッシングやタレ、スープ、カフェオレやアイスクリームといった油脂成分と水性成分を混ぜ合わせたものが混合性のシミです。

 

カビ

 

カビとは、真菌と呼ばれる微生物の一種です。四季があり湿気の多い日本の気候は、もともとカビの発生しやすい環境であるといえます。加えて、タンスや収納ケースに入れたままにしておくと、湿気がこもり、カビの温床となりやすいのです。

 

着物につきやすいカビは、白カビと黒カビの2種類です。白カビは、比較的落としやすいカビではありますが、ふわふわとした部分だけを払っただけでは落としきれません。黒カビは、汗や皮脂などの部分に多く発生し、黒ずんだシミのように見えます。カビの臭いが気になるようになり、さらには繊維に入り込んだカビが繁殖して、穴があいたり変色してしまうことがあります。

 

着物クリーニングの種類は汚れの状態で選ぶことが重要

 

着物クリーニングにはいくつかの種類がありますが、汚れの状態によって、適切な方法が異なってきます。

 

着物クリーニングの種類は、以下の通りです。

 

  • 丸洗い

 

  • 部分洗い

 

  • 水洗い

 

それぞれ、どのような方法でおこなわれるのかを解説します。

 

油汚れには丸洗い

丸洗いとは、着物をほどかずに仕立て上がった状態のまま揮発性溶剤で洗う方法です。主に、油汚れを落とすことができます。そのため、ファンデーションや口紅などの化粧品や皮脂の汚れに対して、大きな効果があります。また、絹のようなデリケートな生地でも縮むことはありません。ダメージなく、きれいに油汚れを落とせるので安心です。  

 

汗汚れやシミは部分洗い

部分洗いとは、衿や袖口など汚れている箇所のシミを落とす方法です。シミの種類に適した溶剤や薬剤を使って洗います。化粧品や皮脂の汚れ、食べ物によるシミなどは揮発性溶剤、汗汚れは特殊な水を使って洗い落とします。着物全体ではなく部分的に洗うので、メンテナンスにかかるコストを押さえることが可能です。

 

着物全体の汚れは水洗い(洗い張り)

着物をほどいて端縫い(はぬい:着物をほどいた数枚の布を縫い合わせる)し、反物の状態に戻してから水洗いする方法です。手作業で洗った後、糊づけし乾燥させます。多くの場合、蒸気をあてながら布の幅を均一に整える「湯のし」で仕上げます。

 

隠れた汚れ、ほこりなどが洗い流され、生地本来の風合いをよみがえらせることも可能です。着用するためには、仕立て直しが必要になり、その際に寸法の直しや裏表の生地を入れ替え、染め替えもできます。

 

参考:高林祐志著『きもののお手入れ&お直し決定版』世界文化社

 

着物のクリーニングが依頼できるのは?

 

ここまで、着物の汚れの種類やクリーニングの方法についてご紹介してきました。いよいよ着物をクリーニングに出すとなると、どこに依頼するのがいいのか、分からないという方も多いでしょう。

 

着物のクリーニングは、以下の店舗に依頼することができます。

 

  • 一般のクリーニング店

 

  • 着物販売店

 

  • 着物クリーニング専門店

 

それぞれの店舗の特徴について解説します。

 

一般のクリーニング店

 

一般のクリーニング店の多くは、洋服のクリーニングがメインですが、着物を受け付けている店舗もあります。自宅で水洗いできない洋服を「ドライクリーニング」という、水を使用しない方法で洗濯しています。通常は、洋服と同じようにドライ溶剤でのクリーニングになります。そのため、着物専用の溶剤を使っている店舗は多くありません。

 

一般のクリーニング店に出す際には、着物の丸洗いに対応できるかを尋ねてみましょう。なかには、着物専門のクリーニング店へ取り次いでくれる店舗もあるようです。ただ、長襦袢や浴衣のクリーニングであれば、一般のクリーニング店でも問題ありません。

 

着物販売店

 

着物販売店も、着物のクリーニングを受け付けている場合があります。購入した販売店や近くの着物販売店、デパートの呉服売り場に相談するのもよいでしょう。

 

ただ、着物販売店がクリーニングをおこなうわけではなく、下請けの専門業者へ委託することになります。ゆえに、手数料が発生するケースも多いです。着物が汚れたらすぐ相談できるよう、近所で見つけておくと安心できます。

 

着物クリーニング専門店

 

大切な着物の汚れ落としは、着物クリーニング専門店への依頼がおすすめです。目に見える汚れから隠れている汚れまで、プロの目で総合的に判断してくれます。また、シミやカビなど、汚れの種類や程度に合わせたクリーニング方法や技術を持っています。

 

さらに、汚れによって変色したり穴が開いてしまった着物には、さまざまな技術で補修してくれますから、着るのを諦めてしまうような着物をよみがえらせたい方も、ぜひ着物クリーニング専門店に依頼しましょう。

 

汚れを防ぐ簡単にできるお手入れ方法

 

着物を一度でも着用すると、化粧品の汚れや食べこぼし、ほこりなど、さまざまな汚れがついてしまいます。着物の汚れがひどくなる前に、日ごろから簡単にできるお手入れ方法について解説します。

 

着用後は十分に陰干しを

 

着用後の着物は、自分では気がつかなくても汗をかいていることが多く、湿気を含んでいます。湿気はカビの原因となるので、着物にとっては大敵です。なるべく和装ハンガーを使って、半日ほど陰干しをおこないましょう。和装用ブラシなどでほこりも払っておくことも大切です。着物はもちろん、帯や小物、着付け道具、草履など、身につけたものは陰干ししておくとカビを防ぐことができます。

 

汚してしまったら「擦る・叩く」は厳禁

 

汚れを落とそうと、擦ったり叩いたりすると、生地を傷めてしまうので、絶対にやってはいけません。水溶性と油溶性の汚れがついたときの応急処置について解説します。

 

水溶性の汚れ

 

水溶性の汚れは、水になじませて、あて布に移しとるのが基本の方法です。水溶性の汚れがついたら、すぐに水分を拭き取りましょう。乾いた布やティッシュを着物の裏にあてて、濡らした布などで汚れを押さえて、裏の布に移しとります。

 

油溶性の汚れ

 

油溶性の汚れの場合、固形物があればつまみ取るように取り除きましょう。着物の裏に乾いた布をあてて、ティッシュで水分と油分を裏の布に移しとります。汚れが目立つときは、濡れた布で押さえます。決して、こすってはいけません。最後に、乾いた布で何度も押さえると目立たなくなります。

 

ファンデーションの汚れ

 

着物についたファンデーションの汚れは、市販のベンジンで落とすことができます。シミ抜きブラシもしくは刷毛にベンジンを含ませ、生地の布目に沿って動かしていきます。きれいな布で押さえるように拭き、ドライヤーの冷風をあててベンジンを飛ばしましょう。温風やアイロンは厳禁です。

 

着物の保管は湿気と虫の対策

 

着物の保管で大切なのは、通気性の配慮と虫の対策です。桐のタンスは、通気性に富み、防虫効果も高いため、着物の保管に最適です。

 

しかし、通気性を確保すれば、プラスチックの衣装ケースでも問題ありません。着物をたとう紙に入れ、ゆとりをもって納めましょう。プラスチックケースの底に、すのこを敷くと通気性がよくなります。さらに、たびたび引き出して、風を通すことも忘れないことが大切です。

 

汚れがひどいときは早めにクリーニングに出す

汚れがついてしまったら、できるだけ早くクリーニングに出しましょう。広範囲の汚れや着物に通るほどの汗をかいてしまった時など、自分で応急処置するのは難しくなります。かえって、汚れを広げてしまうかもしれません。時間が経つほど落ちにくくなってしまうため、適切な方法でシミを落としてもらいましょう。

 

最後に

この記事では、汚れの種類と原因から汚れの状態に適したクリーニングや依頼先、普段からできる簡単なお手入れ方法について解説しました。着物をクリーニングに出す前に、汚れの種類や原因を特定して、汚れの状態に合わせて適切なクリーニングできれいにしてもらいましょう。着物は、日ごろからのお手入れやクリーニングによって、いつまでもきれいな状態で着用できます。大切な着物だからこそ、汚れてしまったときのクリーニング店を見つけておくと安心です。

 

この記事を書いた人

着物買取の窓口編集部

はじめての着物買取で生じる様々な疑問にお答えできるメディア「着物買取の窓口」を運営する編集部です。着物の正しい知識とリアルな体験談を主軸に情報をお届けします。

この記事の監修者

ナヴィカス祐木

津田塾大学大学院修士課程修了。大学在籍時に着付けを始め、若干20代で着付け師としてデビュー。毎年成人...